第98回 経営成果につながる小集団活動

今回は改善活動を活性化させるためのポイントを紹介していきます。製造業に限らず改善活動を行っていくのは人です。従って、活動を活性化させる為には、人のやる気をどう引き出すかが重要なポイントになります。



1.全員が共感できる課題、目標の設定

改善活動がスムーズに軌道にのるかどうかという観点では、最初の方向性や課題の検討段階で全員が理解、納得し、共有できるかが大きなポイントです。従って、方向性や課題を明確に設定することが重要です。概要書などに分かりやすくまとめあげ、周知を図ることも必要になります。

生産革新第20-5

2.確実な成果を出すためには活動時間を確保することが大切

一般的に活動時間と成果は比例関係にあり、成果の出る改善活動を行っていくためには、しっかりと活動時間を確保することが大切です。課題達成型小集団活動は会社業務であると明確に位置づけるため、今までの小集団活動と比べて時間確保が行いやすいですが、会社・職場としても改善活動に時間を使える環境作りが必要不可欠になります。

生産革新第20-5

3.改善の基礎教育は必要不可欠

改善活動を行うに当たって改善知識・技術は不可欠のものです。正しい改善手法や判断基準を学ぶことにより従来は見えなかったような問題点も見えるようになってくるし、問題の解決も早く、的確に行っていくことが出来るようになります。従って、そういった改善知識の基礎教育(IE手法やQC手法などの教育)もしっかり行っていく必要があります。

生産革新第20-5

また、教育を実施する上で大切なことは理解させることです。人は理解し、納得することで初めて行動をおこします。従って、行動をおこさせるためには単に作業のやり方や方法を教える「Know How教育」だけでなく、作業の意味や理由について教える「Know Why教育」も必要になります。教育というと「Know How教育」に偏る傾向にあるので、「Know Why教育」が疎かにならないように注意が必要です。

生産革新第20-5

4.成功のキーはモチベーションにある

改善・改革活動成功のためのキーとしてモチベーションがあります。従業員のモチベーションが高ければ、今まで出来なかったことも実現可能になるし、より短時間で成果を上げることが出来るようになります。

生産革新第20-5


モチベーションは個人に起因する問題ですが、組織で仕事を行う以上、個人の勝手では済まない問題です。従って、会社としてモチベーションを上げる仕組み・仕掛けが必要になります。従業員のモチベーションを上げるための仕掛けは様々ありますが、まず重要なことはしっかりコミュニケーションを取ることです。特に改善活動においては、管理・監督者が改善活動に積極的に関わること、また、活動に取り組んでいるメンバーを“ほめる”ことが重要です。

生産革新第20-5


5.着実にステップを踏む

改善活動を維持継続して着実に成果を出すためには、着実にステップを踏んでメンバーの実力を高めていくことが重要です。改善の実力が十分についていない時点で大きな成果を求めても、メンバーはついてこれませんし、モチベーションを下げるだけです。
改善活動においてより大きな成果を上げるためには、より大きな改善テーマ(ものづくりの仕組みを変える改善)に取り組む必要がありますが、改善活動を始めた直後はまだメンバーにそういった大きなテーマに取り組むだけの自信がありません。従って、まずはメンバーに「できる」という自信を持たせるために成功体験を積ます必要があります。
課題達成型小集団活動では、準備期間、ミクロ改善期間、テーマ改善期間、ストラクチャー改善期間という大きく4つのステップで活動を進めていきますが、これらのステップを確実に遂行することにより成功体験を積ませ、より大きなテーマに取り組める実力と自信を養っていきます。

生産革新第20-5


以上で「経営成果につながる小集団活動」の講座を終わります。

株式会社アステックコンサルティング
コンサルティング本部 コンサルタント 上原 剛


生産革新講座 連載
第104回  新製品の企画開発の進め方(3/3)(2023.3.13)
第103回  新製品の企画開発の進め方(2/3)(2023.2.20)
第102回  新製品の企画開発の進め方(1/3)(2023.1.30)
第101回  原価設計と運用(3/3)(2023.1.12)
第100回  原価設計と運用(2/3)(2022.12.19)
第99回  原価設計と運用(1/3)(2022.11.28)
第98回  経営成果につながる小集団活動(3/3)(2022.11.16)
第97回  経営成果につながる小集団活動(2/3)(2022.10.18)
第96回  経営成果につながる小集団活動(1/3)(2022.9.26)
第95回  調達を機軸とした企業変革力の強化(3/3)(2022.9.5)
第94回  調達を機軸とした企業変革力の強化(2/3)(2022.8.23)
第93回  調達を機軸とした企業変革力の強化(1/3)(2022.7.25)
第92回  新商品開発の進め方~開発と量産導入(3/3)(2022.7.4)
第91回  新商品開発の進め方~開発と量産導入(2/3)(2022.6.13)
第90回  新商品開発の進め方~開発と量産導入(1/3)(2022.5.30)
第89回  間接部門の働き方改革(3/3)(2022.5.18)
第88回  間接部門の働き方改革(2/3)(2022.4.14)
第87回  間接部門の働き方改革(1/3)(2022.3.25)
第86回  生産性指標の設定と活用方法(3/3)(2022.2.28)
第85回  生産性指標の設定と活用方法(2/3)(2022.2.7)
第84回  生産性指標の設定と活用方法(1/3)(2022.1.19)
第83回  コスト・在庫の適正化につながる現場改善(3/3)(2021.2.22)
第82回  コスト・在庫の適正化につながる現場改善(2/3)(2021.2.8)
第81回  コスト・在庫の適正化につながる現場改善(1/3)(2021.1.25)
第80回  生産設計によるコストダウン(3/3)(2021.1.12)
第79回  生産設計によるコストダウン(2/3)(2020.12.21)
第78回  生産設計によるコストダウン(1/3)(2020.12.7)
第77回  生産管理システムを活かした改善(3/3)(2020.11.24)
第76回  生産管理システムを活かした改善(2/3)(2020.11.9)
第75回  生産管理システムを活かした改善(1/3)(2020.10.27)
第74回  品質で顧客満足を獲得し企業の体質強化を図る(4/4)(2020.10.12)
第73回  品質で顧客満足を獲得し企業の体質強化を図る(3/4)(2020.9.29)
第72回  品質で顧客満足を獲得し企業の体質強化を図る(2/4)(2020.9.14)
第71回  品質で顧客満足を獲得し企業の体質強化を図る(1/4)(2020.8.24)
第70回  指標管理による業務革新の「見える化」(3/3)(2020.8.3)
第69回  指標管理による業務革新の「見える化」(2/3)(2020.7.20)
第68回  指標管理による業務革新の「見える化」(1/3)(2020.7.6)
第67回  部門・組織を越えた改善の進め方(3/3)(2020.6.22)
第66回  部門・組織を越えた改善の進め方(2/3)(2020.6.8)
第65回  部門・組織を越えた改善の進め方(1/3)(2020.5.26)
第64回  全体最適型改善のススメ(3/3)(2020.5.15)
第63回  全体最適型改善のススメ(2/3)(2020.4.27)
第62回  全体最適型改善のススメ(1/3)(2020.4.6)
第61回  攻めの設備保全(3/3)(2019.8.5)
第60回  攻めの設備保全(2/3)(2019.7.22)
第59回  攻めの設備保全(1/3)(2019.7.1)
第58回  食品メーカーの生産性革命!(3/3)(2019.6.17)
第57回  食品メーカーの生産性革命!(2/3)(2019.6.3)
第56回  食品メーカーの生産性革命!(1/3)(2019.5.20)
第55回  コストの見える化(3/3)(2019.5.8)
第54回  コストの見える化(2/3)(2019.4.15)
第53回  コストの見える化(1/3)(2019.4.1)
第52回  強い管理職をつくる!(3/3)(2019.3.18)
第51回  強い管理職をつくる!(2/3)(2019.3.4)
第50回  強い管理職をつくる!(1/3)(2019.2.18)
第49回  設計開発部門改革の第一歩(5/5)(2019.2.4)
第48回  設計開発部門改革の第一歩(4/5)(2019.1.21)
第47回  設計開発部門改革の第一歩(3/5)(2019.1.7)
第46回  設計開発部門改革の第一歩(2/5)(2018.12.17)
第45回  設計開発部門改革の第一歩(1/5)(2018.12.3)
第44回  鋳物工場の生産性向上(3/3)(2018.11.19)
第43回  鋳物工場の生産性向上(2/3)(2018.11.5)
第42回  鋳物工場の生産性向上(1/3)(2018.10.22)
第41回  食品工場の生産性向上のための人員管理術(3/3)(2018.10.1)
第40回  食品工場の生産性向上のための人員管理術(2/3)(2018.9.18)
第39回  食品工場の生産性向上のための人員管理術(1/3)(2018.9.5)
第38回  一品受注型企業のリードタイム短縮(3/3)(2018.8.20)
第37回  一品受注型企業のリードタイム短縮(2/3)(2018.8.2)
第36回  一品受注型企業のリードタイム短縮(1/3)(2018.7.17)
第35回  モノを揃えてなんぼの調達・外注管理(3/3)(2018.7.4)
第34回  モノを揃えてなんぼの調達・外注管理(2/3)(2018.6.5)
第33回  モノを揃えてなんぼの調達・外注管理(1/3)(2018.5.23)
第32回  機械加工職場の生産性向上(3/3)(2018.6.27)
第31回  機械加工職場の生産性向上(2/3)(2018.6.11)
第30回  機械加工職場の生産性向上(1/3)(2018.4.24)
第29回  一気通貫生産のバリエーション化(3/3)(2017.6.19)
第28回  一気通貫生産のバリエーション化(2/3)(2017.5.19)
第27回  一気通貫生産のバリエーション化(1/3)(2017.4.18)
第26回  「仕組みを変える」とは何を変えるのか(3/3)(2017.3.22)
第25回  「仕組みを変える」とは何を変えるのか(2/3)(2017.2.21)
第24回  「仕組みを変える」とは何を変えるのか(1/3)(2017.1.24)
第23回  時代環境と変えるべきもの(3/3)(2016.12.13)
第22回  時代環境と変えるべきもの(2/3)(2016.11.15)
第21回  時代環境と変えるべきもの(1/3)(2016.10.18)
第20回  改革の成否を決める教育の重要性(2015.2.17)
第19回  生産革新の方向性(2014.6.20)
第18回  改善戦略が必要な時代!(2014.5.8)
第17回  「脱カンバンの生産革新」 一気通貫方式のすすめ(3/3)(2013.8.12)
第16回  「脱カンバンの生産革新」 一気通貫方式のすすめ(2/3)(2013.7.5)
第15回  「脱カンバンの生産革新」 一気通貫方式のすすめ(1/3)(2013.5.28)
第14回  時代は経営視点からの改善を必要としている(2/2)(2013.3.21)
第13回  時代は経営視点からの改善を必要としている(1/2)(2013.2.13)
第12回  現場改善だけでは成果につながらない(3/3)(2013.1.16)
第11回  現場改善だけでは成果につながらない(2/3)(2012.12.11)
第10回  現場改善だけでは成果につながらない(1/3)(2012.11.12)
第9回  一気通貫生産方式の基本的な考え方(3/3)(2012.10.12)
第8回  一気通貫生産方式の基本的な考え方(2/3)(2012.09.26)
第7回  一気通貫生産方式の基本的な考え方(1/3)(2012.08.20)
第6回  仕組みを変えればコストは下がる(6/6)「生産設計によるコストダウン」(2012.02.27)
第5回  仕組みを変えればコストは下がる(5/6)「設計によるコストダウン」(2012.02.03)
第4回  仕組みを変えればコストは下がる(4/6)「生産の流れをコントロールする」(2011.12.28)
第3回  仕組みを変えればコストは下がる(3/6)「生産の仕組み自体を変えていく」(2011.09.26)
第2回  仕組みを変えればコストは下がる(2/6)「生産管理の仕組みを変える」(2011.08.29)
第1回  仕組みを変えればコストは下がる(1/6)「コストは狙って下げるもの!」(2011.08.08)

お問い合せ

詳しい内容・ご質問・お見積り等はお気軽にどうぞ