第87回 間接部門の働き方改革

働き方改革については、2018年働き方改革関連法案が成立し、長時間労働の禁止、正規・非正規の不合理な処遇の差の解消、女性・高齢者の労働人口を増やすという施策が進んでいます。しかし、皆様の職場の実態はいかがでしょうか。実際、従来からの仕事は何も変わらずそのままなのに残業時間だけが減っていたり、また、在宅勤務になり時間の区切りが不明確になったりしていませんか。また、ものづくりに携わる製造部門は過去から生産性向上の取組を継続している会社が多いと思いますが、間接部門の生産性向上は、継続して改善活動を続けている会社は少ないようです。

そのような間接部門については、これまでの仕事のやり方を変えて自分たちの仕事の時間を短くする取組、つまり、間接部門の生産性向上の取組が必要ではないでしょうか。分かってはいるがなかなか間接部門の生産性向上が進まないのも実情かと思います。

ここでは、そのような間接部門の生産性を大幅に向上させる具体的な施策について、3回シリーズで解説していきます。

今回は、間接部門の生産性が上がらないのはなぜか、を説明していきます。
私たちコンサルタントは様々な会社を訪問させて頂くと、よく「我社は特別」という言葉を伺います。非常に難易度の高いものを生産している、ベテランで無いと設計出来ないものが多い、人員構成が特殊でちゃんと動ける人が少ない、製品品種数が非常に多く特殊仕様も多い、メンバーの改善意識(レベル)が低い等々という声を聞きます。特殊な業界で、特殊な社員が、特殊な材料を使って、特殊な商品を設計・製造し、特殊なお客さんに納めている?本当にそうでしょうか。視野の狭窄からくる外部情報不足からこのような発言になっているのではないでしょうか。

「我社は特別」と言う場合、そのほとんどは「やらない言い訳」です。また、やる方法論(具体的なやり方)が分からない場合も同じ様な発言になります。いずれにしろ行動を起こさない言い訳として語られる場合がほとんどです。自社の特異性を考えるよりも、他社との類似性を考えるほうが前向きです。また、具体的に動いて初めて分かることも多いのでまずは行動を起こしてみることが必要です。さらに、教育を行う事により改善の道筋が見えてくるので従業員教育は必須です。

我々が色々な会社の改善活動のお手伝いをさせて頂く中で、会社が変われるかどうかは以下の3点がポイントであると考えています。



生産革新第20-5


これらの潜在的な課題と背景は何かを考えてみましょう。

「モチベーション」については、モチベーションを上げる施策が無い、マンネリ化していると考えられます。改善活動を積極的に行っている会社でも、長年同じ様な改善を続けて行くとマンネリ化が進み小さな成果しか出なくなってきます。また自主活動を進めている企業では従業員のモチベーションを上げる取組みが行われておらず、発表会前だけの活動になっている場合が多いようです。

「見える化」については、見える化が進んでない為、個別最適な仕事の進め方になっています。見える化が遅れていると、その組織にとって何が重要な課題なのかが不明確なので、個別最適な仕事の進め方になり、本質的な改善活動には結びつきません。見える化により課題の優先順位を明確にすることで全体最適の改善活動に結び付けて行くべきです。

「解決策の不足」については、教育活動が不足、定期的・継続的に行われていない場合が多いものです。バブル崩壊後の90年代に入ってから、企業収益悪化に伴い多くの企業が教育活動に対する投資を抑えるようになりました。現在この時代以降に入社した世代が現場の第一線に立っていますが、改善に対する教育が不足しているために問題点を問題点として捉えられず、改善を進めることが出来ないことが良くあります。

つまり、会社を変えるためのポイントは、①従業員のモチベーションアップ、②構造的問題点の見える化、③教育を伴った全体最適視点の改善活動、であるということです。

このような間接部門の生産性を上げるにはどのようにすれば良いのでしょうか。次回は、間接部門の生産性を上げるための具体的な間接改善の進め方・手法について説明をします。


株式会社アステックコンサルティング
コンサルティング本部 コンサルタント 松山 和人
生産革新講座 連載
第104回  新製品の企画開発の進め方(3/3)(2023.3.13)
第103回  新製品の企画開発の進め方(2/3)(2023.2.20)
第102回  新製品の企画開発の進め方(1/3)(2023.1.30)
第101回  原価設計と運用(3/3)(2023.1.12)
第100回  原価設計と運用(2/3)(2022.12.19)
第99回  原価設計と運用(1/3)(2022.11.28)
第98回  経営成果につながる小集団活動(3/3)(2022.11.16)
第97回  経営成果につながる小集団活動(2/3)(2022.10.18)
第96回  経営成果につながる小集団活動(1/3)(2022.9.26)
第95回  調達を機軸とした企業変革力の強化(3/3)(2022.9.5)
第94回  調達を機軸とした企業変革力の強化(2/3)(2022.8.23)
第93回  調達を機軸とした企業変革力の強化(1/3)(2022.7.25)
第92回  新商品開発の進め方~開発と量産導入(3/3)(2022.7.4)
第91回  新商品開発の進め方~開発と量産導入(2/3)(2022.6.13)
第90回  新商品開発の進め方~開発と量産導入(1/3)(2022.5.30)
第89回  間接部門の働き方改革(3/3)(2022.5.18)
第88回  間接部門の働き方改革(2/3)(2022.4.14)
第87回  間接部門の働き方改革(1/3)(2022.3.25)
第86回  生産性指標の設定と活用方法(3/3)(2022.2.28)
第85回  生産性指標の設定と活用方法(2/3)(2022.2.7)
第84回  生産性指標の設定と活用方法(1/3)(2022.1.19)
第83回  コスト・在庫の適正化につながる現場改善(3/3)(2021.2.22)
第82回  コスト・在庫の適正化につながる現場改善(2/3)(2021.2.8)
第81回  コスト・在庫の適正化につながる現場改善(1/3)(2021.1.25)
第80回  生産設計によるコストダウン(3/3)(2021.1.12)
第79回  生産設計によるコストダウン(2/3)(2020.12.21)
第78回  生産設計によるコストダウン(1/3)(2020.12.7)
第77回  生産管理システムを活かした改善(3/3)(2020.11.24)
第76回  生産管理システムを活かした改善(2/3)(2020.11.9)
第75回  生産管理システムを活かした改善(1/3)(2020.10.27)
第74回  品質で顧客満足を獲得し企業の体質強化を図る(4/4)(2020.10.12)
第73回  品質で顧客満足を獲得し企業の体質強化を図る(3/4)(2020.9.29)
第72回  品質で顧客満足を獲得し企業の体質強化を図る(2/4)(2020.9.14)
第71回  品質で顧客満足を獲得し企業の体質強化を図る(1/4)(2020.8.24)
第70回  指標管理による業務革新の「見える化」(3/3)(2020.8.3)
第69回  指標管理による業務革新の「見える化」(2/3)(2020.7.20)
第68回  指標管理による業務革新の「見える化」(1/3)(2020.7.6)
第67回  部門・組織を越えた改善の進め方(3/3)(2020.6.22)
第66回  部門・組織を越えた改善の進め方(2/3)(2020.6.8)
第65回  部門・組織を越えた改善の進め方(1/3)(2020.5.26)
第64回  全体最適型改善のススメ(3/3)(2020.5.15)
第63回  全体最適型改善のススメ(2/3)(2020.4.27)
第62回  全体最適型改善のススメ(1/3)(2020.4.6)
第61回  攻めの設備保全(3/3)(2019.8.5)
第60回  攻めの設備保全(2/3)(2019.7.22)
第59回  攻めの設備保全(1/3)(2019.7.1)
第58回  食品メーカーの生産性革命!(3/3)(2019.6.17)
第57回  食品メーカーの生産性革命!(2/3)(2019.6.3)
第56回  食品メーカーの生産性革命!(1/3)(2019.5.20)
第55回  コストの見える化(3/3)(2019.5.8)
第54回  コストの見える化(2/3)(2019.4.15)
第53回  コストの見える化(1/3)(2019.4.1)
第52回  強い管理職をつくる!(3/3)(2019.3.18)
第51回  強い管理職をつくる!(2/3)(2019.3.4)
第50回  強い管理職をつくる!(1/3)(2019.2.18)
第49回  設計開発部門改革の第一歩(5/5)(2019.2.4)
第48回  設計開発部門改革の第一歩(4/5)(2019.1.21)
第47回  設計開発部門改革の第一歩(3/5)(2019.1.7)
第46回  設計開発部門改革の第一歩(2/5)(2018.12.17)
第45回  設計開発部門改革の第一歩(1/5)(2018.12.3)
第44回  鋳物工場の生産性向上(3/3)(2018.11.19)
第43回  鋳物工場の生産性向上(2/3)(2018.11.5)
第42回  鋳物工場の生産性向上(1/3)(2018.10.22)
第41回  食品工場の生産性向上のための人員管理術(3/3)(2018.10.1)
第40回  食品工場の生産性向上のための人員管理術(2/3)(2018.9.18)
第39回  食品工場の生産性向上のための人員管理術(1/3)(2018.9.5)
第38回  一品受注型企業のリードタイム短縮(3/3)(2018.8.20)
第37回  一品受注型企業のリードタイム短縮(2/3)(2018.8.2)
第36回  一品受注型企業のリードタイム短縮(1/3)(2018.7.17)
第35回  モノを揃えてなんぼの調達・外注管理(3/3)(2018.7.4)
第34回  モノを揃えてなんぼの調達・外注管理(2/3)(2018.6.5)
第33回  モノを揃えてなんぼの調達・外注管理(1/3)(2018.5.23)
第32回  機械加工職場の生産性向上(3/3)(2018.6.27)
第31回  機械加工職場の生産性向上(2/3)(2018.6.11)
第30回  機械加工職場の生産性向上(1/3)(2018.4.24)
第29回  一気通貫生産のバリエーション化(3/3)(2017.6.19)
第28回  一気通貫生産のバリエーション化(2/3)(2017.5.19)
第27回  一気通貫生産のバリエーション化(1/3)(2017.4.18)
第26回  「仕組みを変える」とは何を変えるのか(3/3)(2017.3.22)
第25回  「仕組みを変える」とは何を変えるのか(2/3)(2017.2.21)
第24回  「仕組みを変える」とは何を変えるのか(1/3)(2017.1.24)
第23回  時代環境と変えるべきもの(3/3)(2016.12.13)
第22回  時代環境と変えるべきもの(2/3)(2016.11.15)
第21回  時代環境と変えるべきもの(1/3)(2016.10.18)
第20回  改革の成否を決める教育の重要性(2015.2.17)
第19回  生産革新の方向性(2014.6.20)
第18回  改善戦略が必要な時代!(2014.5.8)
第17回  「脱カンバンの生産革新」 一気通貫方式のすすめ(3/3)(2013.8.12)
第16回  「脱カンバンの生産革新」 一気通貫方式のすすめ(2/3)(2013.7.5)
第15回  「脱カンバンの生産革新」 一気通貫方式のすすめ(1/3)(2013.5.28)
第14回  時代は経営視点からの改善を必要としている(2/2)(2013.3.21)
第13回  時代は経営視点からの改善を必要としている(1/2)(2013.2.13)
第12回  現場改善だけでは成果につながらない(3/3)(2013.1.16)
第11回  現場改善だけでは成果につながらない(2/3)(2012.12.11)
第10回  現場改善だけでは成果につながらない(1/3)(2012.11.12)
第9回  一気通貫生産方式の基本的な考え方(3/3)(2012.10.12)
第8回  一気通貫生産方式の基本的な考え方(2/3)(2012.09.26)
第7回  一気通貫生産方式の基本的な考え方(1/3)(2012.08.20)
第6回  仕組みを変えればコストは下がる(6/6)「生産設計によるコストダウン」(2012.02.27)
第5回  仕組みを変えればコストは下がる(5/6)「設計によるコストダウン」(2012.02.03)
第4回  仕組みを変えればコストは下がる(4/6)「生産の流れをコントロールする」(2011.12.28)
第3回  仕組みを変えればコストは下がる(3/6)「生産の仕組み自体を変えていく」(2011.09.26)
第2回  仕組みを変えればコストは下がる(2/6)「生産管理の仕組みを変える」(2011.08.29)
第1回  仕組みを変えればコストは下がる(1/6)「コストは狙って下げるもの!」(2011.08.08)

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