第47回 「設計開発部門改革の第一歩」
さて、この回では設計思想に準じた標準化と、標準化に対応した設計方式につきまして説明を行います。 |
1.製造業における設計標準化に対する誤解 |
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多くの設計部門で、ありがちな傾向として「標準化」の重要性を感じている一方で「標準化」の誤解が発生しております。
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以上のような言い分は標準化したくないためのいいわけであり、「標準化」こそ設計効率化、設計リードタイム短縮に対してなくてはならない要素です。即ち標準化こそ技術成果そのものであり、なされていなければ技術が確立されたとは言えないと思われます。 |
2.製造業における4つの標準化について |
標準化とは「制限をかけること」であり、個人裁量(自由度)範囲を削減することです。人の考え方や行動に何らかの枠(制限)をかけることによって、個人差の減少、バラツキ幅の縮小を行っていく手法です。いわゆる多様性を排除する考え方です。人の発想は自由だからと放っておくと色々な方向に向いて行ってしまうので、何らかの制限をかけることで思考の方向性が出てまいります。これが標準化の基本です。さて標準化といいましても4つの標準化があります。
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3.標準化に対応した設計方式 |
設計効率や設計リードタイム短縮を図るために「標準化」は重要なキーになることは説明いたしました。ここではその「標準化」を目指したいくつかの段階の設計方式を紹介し、そのステップを説明します。
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以上の設計パターンの中で、良く展開されていますのが「流用設計」の仕組みですが、ありがちな流用設計のレベルは個人スキルに頼る属人的な設計が多くみられます。このレベルから脱却するためにも早急にレベルの高い流用設計の仕組みづくりが必要になってまいります。しかし流用設計といいましても、進化レベルに応じて流用設計の段階は4段階ほどあります。
ここで標準化と流用化、その活用につきまして、一品受注業界の設計を例に取って説明させていただきます。一品受注業界では一般的には顧客要望事項を設計に反映させることが基本ですが、それを全て聞いていくと膨大な設計工数がかかります。そこでメーカー主導で決められることができる仕様は「標準化」しておき、顧客カスタマイズ部分は「流用化」していくようにすれば設計効率化に大きく寄与することができます。 |
4.コンサルティングを通じてユニット化・モジュール化の推進 |
標準化では、先ずユニット化とモジュール化に取り組みます。顧客要望やライバルメーカーとの競争で製品数が増えても、ユニット組合せで対応し部品数や管理工数を増やさない。ともすれば製品数が増えるのに比例して部品数が増えますし、部品数が増えると作業工数や設計工数が増えます。結果として管理コスト、在庫コスト、製造コスト、設計コスト、各種ロスコスト、LTが増大してまいります。つまり戦略なき商品増がコスト増の要因になりますのでぶれない設計推進活動が必要です。(図3) |
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以上今回は設計改善の重要な柱である設計思想、標準化、流用化について説明いたしました。次回は、業務フロー改善と設計マネージメントについて説明いたします。 |
株式会社アステックコンサルティング |