株式会社ダイヘン 様
会社名 | 株式会社ダイヘン 様 |
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事業内容 | 変圧器、溶接機、ロボット、半導体製造装置用の高周波電源、 太陽光発電用パワーコンディショナ等の製造・販売 |
株式会社ダイヘン様は、柱上変圧器の専門メーカーとして1919年大阪府中津町に設立されました。1930年には大阪市淀川区の十三に工場を移転し、以後、大小の変圧器に加えて、溶接機、ロボット、半導体製造装置用機器等、社会インフラやモノづくりを支える製品を開発・製造・販売され、グローバルカンパニーとして事業を展開されています。
本日は、ビルや工場、公共施設等に納入する中小型変圧器をはじめとした電力機器を扱う電機システム事業部、執行役員事業部長の山野一郎様を訪問してお話を伺いました。
- Q:まず、弊社のセミナーをご受講頂きましたが、どのようなきっかけからでしょうか?
- 2010年秋のリーマンショック後、大幅な需要の減少に加え、売価も下落するなど極めて厳しい事業環境が続いておりました。3割を超える売上高の減少など、この厳しい状況を打破すべく、コストダウン、生産性向上に手を尽くすもののその限界を感じていた時、アステックさんからセミナーの案内が届きました。そこに書かれていた「強い製造・強い設計の作り方」というものが気になり、講師の岩室社長が書かれた同タイトルの書籍を購読してみたところ、とても詳細な記載にまず驚き、セミナーではさらに詳しい内容や事例が聞けるのではないかと思い受講することにしました。
- Q:工場診断を受診頂きましたが、結果は如何でしたか?
- 診断報告を受けて感じたことは、「見えないコスト」がキーワードだと言うことです。事業部全体を見渡せば確かに見えないコストが蔓延しているであろうことに気付かされました。提示された目標値は、1年後に「リードタイム半減」「生産性20%向上」という大きなもので驚きましたが、大きな成果を狙ってチャレンジする事が必要だと感じましたし、これまでのコンサルティング会社と違い全貌が明らかであったので、改善活動に取り組む意欲が出てきました。また、当事業部のような多品種少量生産形態に適した生産方式というものは従来ありませんでしたが、「一気通貫生産方式」はその悩みに体系的に応えてくれるものであり、コンサルティングを導入しようと決断しました。
- Q:改善活動の詳細について、教えてください。
- 「一気通貫生産方式」を実現するにあたり、まず「生産管理改善プロジェクト(生産管理改善PJ)」「生産性向上プロジェクト(生産性向上PJ)」「コストダウンプロジェクト(コストダウンPJ)」の3つのプロジェクトを組織化しました。改善活動の事務局として「専任者」を置きたいところでしたが、プロジェクトメンバーには実務との兼務をさせました。忙しい中、良くやってくれたと思います。
まず、「生産管理改善PJ」は「一気通貫生産方式の確立によるリードタイムの短縮」を目標に、従来の「押し込み型生産」を改め「一気通貫型生産」に変更することでリードタイム半減に取り組みました。設計基準の見直しで標準図面を約300種類から20種類に削減するとともに、多品種少量生産のためにあった膨大な種類の工程パターンを8パターンに整理し、部材発注の仕組も変更して新たに導入した生産管理システムを活用する事により最適計画立案を可能としました。
「生産性向上PJ」では、1年後生産性向上10%を目標に取り組みました。改善活動を主体業務の一環と位置づけ6職場でそれぞれアクションプランを作成し取り組みましたが、次第に改善活動がリンクし始め改善結果が相乗効果を産み出すようになってきました。その結果、有効時間生産性では28.3%向上し、総時間生産性は14.6%向上し、目標を達成する事が出来ました。
「コストダウンPJ」では、従来の各部品のコストミニマムを追求する視点から、全体最適化視点で取組み、ケースの標準化や生産設計の実施などを行う事により、目標10%低減に対して11%のコストダウンを実現する事が出来ました。図面の標準化は、設計・調達リードタイム短縮および部品点数削減や溶接箇所低減など製造工程の削減にも繋がり、設計・資材調達・製造の各部門でかかっていた無駄な見えないコストが大幅に削減され、各職能では主体業務の密度を向上させることが出来ました。
- Q:非常に上手く改善活動が進捗したように伺いましたが、最初から順調でしたか?
- 当事業部も歴史があるので、長年やってきた仕事の仕方を変えることには、当初大変抵抗がありました。これは、製造現場でも設計部門でも同じことです。
しかしながら、我々は猶予が無い状況にあり、この改善活動は何としてもやり遂げなければならないことでしたので、プロジェクトリーダーである私が、徹底して会合に参画するようにしました。出張時でも朝と夕方のまとめの会合には、タブレット端末を用いてTV会議システムを通じて参加しました。
またコンサルタントの方が、生産管理・設計・資材調達の技術的な指導に加えて、現場のメンバーがやる気を起こさせるよう推進して頂いたことも成果に繋がった要因だと思います。当社のトップマネジメントを現場に招いて担当者より報告を行わせたり、様々なイベントの企画も実施しました。次第に全社員が一丸となって一気通貫生産方式の確立に向けて取り組む風土が定着していきました。今では、自ら発案し活発に改善案を議論できる風土が定着し、若手人材の意識改革という大きな無形資産も得ることができました。 - Q:改善活動におけるリーダーの役割について、お聞かせ願えますか?
- やはり、リーダーは不退転の覚悟でやり抜くことが大事であり、また自ら勉強しなければならないと考えます。弊社のトップから「燃える軍団であれ!」と言われていますが、具体的にはまず『リーダーが熱い思いを持ち率先して活動を牽引』し、『改善の方向性とビジョンの明確化』を行い、そして『改善メンバーにテーマを与えてフォロー』していくことが大切です。また一丸となり改善活動を進めるなかで、指導して頂くコンサルタントとの信頼関係を築くことも非常に重要なことだと思います。
- Q:その後、全社展開された活動について、教えてください。
- 電機システム事業部は、パイロット部門として2010年に改善活動をスタートしましたが、その効果について社内で報告を行い、翌2011年には社長方針の「ロスカット活動」として全社展開する運びとなりました。その手法としては、まず始めにそれぞれの事業部から核になるメンバーを選定し、「キーマン研修」を実施しました。そして2012年には全8事業部門に「一気通貫生産方式」の導入に向けたコンサルティングをお願いしました。この2013年度は、活動成果の定着の年として位置づけています。こうして取り組んだ「ロスカット活動」の成果として2012年には20億円の利益改善成果が出ています。自主的に改善を継続する風土が全社的に根付いてきており、これからもこの活動を継続していきます。
株式会社ダイヘン様では、電機システム事業部様への「一気通貫生産方式」の導入から「ロスカット活動」の全社展開の支援をさせて頂き、私共としましても大変励みになりました。お客様のお役に立てたならコンサルティング会社として最もありがたく、嬉しい事です。
今後の事業計画のグラフを拝見しました。確実な裏づけのある勢いを感じましたが、ここでご紹介できないのが残念です。
本日はお忙しい中、インタビューさせて頂きましてありがとうございました。