小田急食品株式会社 様

お話し 小田急食品株式会社 様
事業内容 1 麺製品、米飯製品の製造販売   2 卸売業
URL https://www.odakyu-shoji.jp/business/food.html

小田急食品株式会社は、昭和50年4月に設立され、「麺」「米飯」製品の製造を行っている会社です。お客様に「安全・安心」をお届けするために、徹底した衛生管理システムを取り入れた商品づくりに徹しています。製品は、小田急商事株式会社が運営するスーパーマーケット「Odakyu OX」や株式会社小田急レストランシステムが運営する「箱根そば」など、小田急線沿線を事業エリアとする小田急グループの会社を中心に、おにぎりやお寿司、生そば、うどんなどを卸しています。「おいしさ・健康」にこだわり、「鮮度」を大切にし、できたての食品をお客様の食卓へお届けしています。

本日は、代表取締役社長 井上 剛一 様 を訪問しお話を伺いました。井上様は、親会社の小田急商事の社長も兼任されています。

Q:どのような背景でコンサルティングを導入されたのでしょうか?
数年前から業績が低迷しており、生産性向上の必要性を感じていました。生産性を高めることで、急激な収入減に見舞われたときでも、しっかり利益が出せる、影響を最小限に抑えることができる体質に変革しなければならないと考えたのです。特に製造工数が多く、労働集約型の事業である米飯製造は、利益の創出が困難であったため早急な体質改善が必須でした。ただ、社内にノウハウが全くなく、何から手を付けていいかわからない状況で、外部の力を借りることも視野に検討を進めていたところ、小田急グループの別の食品製造会社が、アステックコンサルティングさんと取り組みをされていて成果も出ている、という話を聞きつけ、ご紹介頂いたのがきっかけです。
Q:活動はどのように進められましたか?
活動開始にあたり、プロジェクト名を社内公募し、従業員間の投票により「業務プロセス改善プロジェクト」と決定、「スピード持って、迅速改善」をスローガンに、2019年の中頃に活動を開始しました。製造部門の活動からスタートし、まずは製造にかかった時間や計画未達の理由など、とにかくデータを残す、原因の分析をする、ということから始めました。これまでの計画や検証と呼んでいたものが、いかに甘く表面的であったかを痛感しました。その後、収集したデータから、異常値の対応等のプロセスをご教示頂いたり、現場確認により改善のヒントを頂き、叱咤激励を受けながらアクションプランを推進してきました。また、総務、品質管理、開発などの非製造部門についても、半年遅れでプロジェクトに合流、STS分析を用いて、ブラックボックス化していた業務の見える化に着手すると同時に、それぞれの部門の本来やるべき業務、あるべき姿を整理する業務機能設計を実施しました。非製造部門は業務内容や成果が可視化しにくいですが、改めて整理してみると、部門間での重複業務や、本来やらなくても良い業務をしていることが判明するなど、様々な課題、改善点が見つかりました。そのため「ムダを減らす改善と本来業務を増やす改善」の両面を意識して進めてきました。
Q:活動期間中に、新型コロナウイルス感染症の流行があり大変でしたね。
はい。活動が軌道に乗り出した矢先に、新型コロナウイルスが流行して売上高が激減したことが、大きなターニングポイントになりました。小田急線の乗降客数も減少が続くなか、駅構内に出店している「箱根そば」向けの取引高がなかなか元に戻らず、スーパーマーケット「Odakyu OX」向けの取引高の増加で減収分をカバーする方策をとることに決めました。新商品の開発や既存品のリニューアルのスピードアップ、小田急商事との緊密な連携と緻密な製造計画、さらには製造量を大幅に増加させるためには、非常に多くの労働力が必要です。このような急激な事業構造変化への対応は、活動以前ではとても成しえなかったと思いますが、この間行った活動を例に出しますと、個人別行動表の活用によって手待ち時間の圧縮や作業の標準化による時間短縮を行い、作業を組み替えることによって時間を捻出しました。また非製造部門も同様に、改善の結果生み出した時間を工場応援に充てるなど、会社全体で業務の効率化が徐々に進んでいましたので、結果、人を増やすことなく、既存人員でやりくりし、何とか乗り切ることができました。
Q:非常に上手く改善活動が進捗したように伺いましたが、最初から順調でしたか?
いえいえ、結果だけ見れば、目標の達成と上方修正を続けている様に見えますが、そこまで順調ではありませんでした。一番のハードルは、活動に対して、いかに従業員が理解して、納得できているかです。そこで、まずは活動の中心となる部門長の意識を高めることに力を入れました。はじめはやらされ意識で、活動に半信半疑だったかもしれません。とにかくやってみて!と、何とか巻き込み、手探りで取り組んでもらいました。一年ほど経過したところで、少し前倒しでの目標クリアが見えてくると、成功体験が自信につながったのか、部下のメンバーも引っ張る形で「次の年はもっと高い目標を」と、こちらの想像以上に前向きになってくれました。これがさらなる活動の推進力に繋がったと考えています。当時、部門長と専任メンバーは大変だったと思いますが、とても感謝しています。

コロナ禍での取引高減少という大きな危機に直面し、大変な時期でしたが、改善活動を拠りどころとして、一つ一つ乗り越えることできました。窮地に置かれたときに自分たちが何をすべきか、考えて行動する。危機管理能力を身に付けることができたのは、改善活動の副産物の一つであると捉えています。
Q:担当コンサルタントは、どんな指導でしたか?
先生は、温厚で穏やかな語り口ながらも、毎度、様々な視点で鋭いご指摘をいただける、とても親しみやすく頼れる方です。小田急食品のメンバー一人ひとりの性格や理解度に合わせて接し方を変えていただき、それぞれの良さをうまく引き出して頂いていると感じています。何よりも、厳しさを増す事業環境のなかで、早期の業績回復を目指すという、我々の置かれている状況をよくご理解いただき、励ましや後押しを頂けたのが大きかったと思います。

新型コロナウイルス感染拡大による移動制限の影響で、現地での活動が出来ず、WEB会議での活動となった時期もありました。当時はWEB会議の設備も整っておらず、不慣れでご迷惑をおかけすることもありましたが、辛抱強くご対応頂いたおかげで、メンバーの意識も途切れることなくモチベーションを保つことができました。深夜の製造時間帯にも、何度かお運び頂き、直接指導を賜るなど、ご多忙のなかご配慮いただき感謝しております。ミニ講座も幅広いテーマで定期的に取り入れて頂き、非常に解り易く大変勉強になりました。
Q:昨年から自主活動も取り入れられましたね。様子は如何ですか?
そうですね。活動3年目からは、月2回のプロジェクトのうち1回を、自主活動に切り替えています。当初は活動の停滞が心配でしたが、自主活動においても専任メンバー中心に、メンバー同士が積極的にコミュニケーションをとりながら、課題解決に導く姿がみられるなど、活動が定着しつつあることを再確認できました。まだまだ個人の力量差や理解浸透度に課題を残しますが、メンバーの確かな成長を感じています。改善活動の本質は人材育成であることを実感し、この部分を大切にするアステックコンサルティングさんにお願いして間違いなかったと確信しています。
Q:改善成果は如何でしたか?
プロジェクトのKPIとして設定した労働生産性については、初年度の目標110%に対し、115%の達成。2年目は120%という目標を立て、ほぼ達成いたしました。3年目はさらに130%の大きな目標を立てましたが、ここが今壁となっています。それでも当時と比べれば、着実に数値効果が出ていますし、なにより従業員の意識の高まりを感じます。”もっと良くするためにはどうするか”という考える力や、改善の着眼力がだいぶ身に付いてきたと思います。

現状でも売上高はコロナ前の85%ぐらいの状況ですが、2021年度はお陰様で営業黒字を確保できました。活動内容が結果につながり、従業員の自信もさらに深まったと感じています。ただ、環境変化のスピードが非常に速いですし、岩室社長の仰る通り「改善に終わりはありません」。大事なのは、これを絶えず続けていくということだと肝に銘じ、改めて気を引き締めたいと思います。
Q:今後の取組みについてお聞かせ下さい
「改善活動の効果を実感している」という従業員の声を耳にする機会も増えてきました。それでも、まだまだ伸びしろがあると感じており、本当の意味での「全員参加」を目指して、裾野を広げ、より多くのメンバーに活動に参加してもらい、成長の機会を用意したいと思います。

直近でも事業環境がどんどん変化しています。長引くコロナの影響にとどまらず、エネルギーや原材料費が高騰、物流費や電気料などが収支を圧迫しており、改善活動のギアを今まで以上に上げていかなければならないと思っています。短期の目標としていた営業黒字も達成し、収益基盤も安定してきましたので、次は事業の”成長”に向けて、高品質、高効率な製造を可能とする機器・機材の導入や、DXの活用など、設備投資も絡めた構造改革にチャレンジしていくことを考えています。そして、先生も常に仰る通り「常識を疑って」「『なぜ?』をとことんつきつめて」これからも貪欲に改善点を見付け、成果につなげていきたいと思います。まだまだお世話になりますので、引き続きご指導賜りますよう宜しくお願いします。

お問い合せ

詳しい内容・ご質問・お見積り等はお気軽にどうぞ