3軸改善(Three axis improvement)とは何か
3軸改善とは、改善を行っていく上で必要な3つの視点(軸)を有機的に繋いで改善に取組んで行くことによって、生産性向上やコスト低減などで大きな成果を上げていく組合せ型の改善手法のことです。
言わば全体最適視点で会社の問題点を構造的に捉え、課題に応じて職制型の改善と組織横断型の改善を組合わせて活動を進めて行くことによって、目指す目標・成果を短期間で実現して行くことが可能になります。
3軸改善は、「組織業務改善軸」、「組織横断改善軸」、「教育・意識改善軸」の3軸で構成され、基本的にどのような業種・製品にも当てはまる改善手法であり、従来の作業改善もしくはQC活動で十分な成果が出なかった問題(会社全体での生産性向上、在庫削減、納期短縮など)でも大きな成果が得られる改善手法です。
1軸組織業務改善軸(チーム改善)
いわゆる職制型(小集団型含む)の改善活動であり、チーム単位や個人単位で改善活動に取組みます。基本的に係や課といった単位での取り組みを行い作業改善やフロー改善、設備改善、品質改善、段取り改善、多能化など直接的に業務遂行で必要な部分を改善する軸です。多くの工場で一般的に取り組まれているやり方ですが、単独では中々大きな成果にはつながりません。
2軸組織横断改善軸(プロジェクト改善)
いわゆる組織横断型の改善に取組む軸であり、課題に応じてメンバーを選択しプロジェクトを構築して改善に取組みます。いわゆる仕組み改善を中心に活動を進め、部門間に跨る課題や長年改善出来ていない課題、経営方針から抽出された課題などに取組みます。難易度は高い反面実現すれば大きな成果に繋がる改善であり、会社業績に大きな影響を与える改善と言えます。
3軸教育・意識改善軸
改善活動を行っていく上で最も大切な改善意識の醸成と改善知識の習得を行なって行く改善軸です。アステックでは行動改革を起こすためには教育活動が非常に重要だと考えており、各種改善知識やマネジメント知識、人員管理知識、モチベーションアップなどの知識教育を重点的に行います。改善活動をより効果的に行なうためには非常に重要な改善軸です。
3軸改善の体系
3軸改善を進めるにあたっては、組織内部の業務改善を基軸に置いたチーム改善と構造的な課題を解決する仕組み改善としてプロジェクト改善、そして管理職やリーダーに対する教育・意識改善の3つを組み合わせた改善手法で取組みます。
これら3軸を並行して進めることで、生産性向上や意識改革、従業員レベルの底上げを実現し、「考えて動く」体質つくりに大きく貢献することができます。
それぞれの改善軸は下図のように構成されます。
3軸改善の活動イメージ
3軸改善の基本は教育・意識改革軸です。改善を進めるにあたっては適切な知識と適切な改善手法を理解して初めて成果につながる改善活動が進められるという考え方です。
3軸改善の種類
3軸改善には、製造部門、工場部門を対象にした「製造・3軸改善」と、設計や開発部門を対象にした「設計・3軸改善」、いわゆる間接部門やスタッフを対象にした「間接・3軸改善」が用意されています。通常の製造部門改善に加えて、これまで改善のメスの入らなかった設計・開発部門や間接部門の改善活動に有効な手法ですので、是非とも活用していただければと思います。
さらに、これらの3軸改善を組合わせて活動することで、同じ視点で社内のすべての部門の改善を進めることができるため、相乗効果が期待できます。
詳しい内容については弊社営業にお尋ねください。

3軸改善で得られる成果
3軸改善は改善に対するアプローチ方法であり、実際には取組む内容によって成果は色々と変わってきます。「教育・意識改善軸」を最重要視し、意識改革的要素を多く盛り込めば体質改善につながってきますし、チーム改善軸のウェイトを上げていけば生産性の高い強い現場つくりにつながってきます。
またサプライチェーン上の問題を解決するためには「組織横断改善軸」をより強化して進めて行くことになります。そういう意味ではテーマによって活動ウェイトを自由に変える事の出来る柔軟性の高い手法という事が出来ます。
一般的に3軸改善で期待される成果として以下のものがあります。
<生産性向上>
・工場部門の労働生産性向上、設備生産性向上
・間接部門の業務効率向上、業務量の削減、残業削減
・設計部門の設計効率向上、流用設計システムの構築
<リードタイム短縮>
・製造リードタイム短縮、トータルリードタイム短縮
・月次決算の迅速化、実績値のシステム反映速度の向上
・設計リードタイム短縮、出図納期遵守率の向上、手戻り削減
<コスト削減>
・生産性向上による外注依頼品の引き上げ、請負コスト削減
・余剰人員削減、配置転換の実施、外注コストの削減
・設計コスト自体の削減、全体最適改善のよるトータルコスト削減
<組織活性化・モチベーションアップ>
・自ら考える組織の構築、若手の育成、組織を超えて動ける体制作り
・従業員のモチベーションアップの実施、多能化の推進、スキル向上
・若手とベテランの意思疎通、マネージャーと現場の距離を縮める
<管理能力向上>
・結果管理にプロセス管理の視点を追加する
・計画を基準においた進捗管理・是正処置の仕組み構築
・教育による知識の習得、改善知識の習得、管理知識の習得
<各種仕組みの構築>
・生産管理主導の管理体制の構築、計画で全体を管理する仕組み
・業務機能、業務分担の明確化。不要な業務が増えない仕組み
・設計管理体制の構築、設計負荷の把握と負荷平準化の仕組み